努力は無限、天才は有限

1998/6/01

春季リーグ戦、優勝おめでとう。
今、私は会社の仕事でドイツに向かう飛行機の中で、リーグ戦を楽しく振返りながら、
これを書いている。
遊沢主将の大黒柱としての活躍、倉島・神・木方もしっかりと自分の役割を果し、優勝に貢献
した。
神の殊勲賞、遊沢・倉島の優秀選手賞の受賞を心から祝いたい。
吉山も出番は少なかったが、守備範囲も広くなり、安定感が増した。 今が大きく飛躍する
ジャンプの時期だと思う。 末貞は初出場でチャンスをものにした。
二人共、まだやることはいっぱいあるが、大きな目標を明確にして益々の精進を望みたい。
レギュラーとして出場した選手は、自分が活躍出来たのは練習相手としてお互いにしのぎを
削っている控えの選手のおかげだということを忘れないで感謝すること。
また、今回は残念ながら出番のなかった選手は、一日も早く自分がレギュラーとして活躍し
ている姿を思い描き、彼等以上の努力を期待したい。
今回のリーグ戦を戦って、或いは試合を見て、勉強になった点も多かったと思う。
それをただ漫然と見過ごしてしまうか、自分の糧として今後に活かすかによって半年後には
大きな差が出るものである。
大相撲夏場所で若乃花関が連続優勝した。
兄弟横綱の誕生も確実で、私は心から嬉しかったのでドイツへ着いてからお祝いの手紙を出し
た。
数年前、親しい友人のコシノ ジュンコさんから二子山親方夫人を紹介されたとき、
「明大卓球部の選手を連れて、○○部屋の朝稽古を見学しようと思っている。」
と言う話をしたところ、
「児玉さん、それなら是非、二子山部屋に御出で下さい。
今の角界では最も厳しい稽古をしています。
他の部屋の力士も時々来ますけど、大抵一日か二日で音を上げてしまい来なくなります。
一部のマスコミはうちが受入れを拒否しているように報道されますけど、全くそんなこと

ないのです。」
ということで、今迄何回か見学させて頂き、稽古後の朝食のチャンコをご馳走になったり、
また、若乃花関には「是非頑張ってください。」と選手の何人かは声を掛けられたこともあ
るので、特別な感情があると思う。
昨年三ヶ月の大ケガをし、その障害を克服しての連続優勝。
ドイツに着いてから何日か遅れの新聞が楽しみだった。
「場所に入ってからの方がリラックスできて自分でも不思議だった。
三敗したときも最後まで一生懸命やっていくことが横綱に上がることよりも大事と考えた。」
「僕の相撲は一生懸命最後まで諦めない相撲。 これからもそんな相撲をとっていきたい。」
スポーツでも、仕事でも、どんな世界でも、
「一生懸命努力して、最後まで諦めない。」ということは本当に大事なことだとつくづく思う。
そして中々実行出来ない人が多いことも事実….
言うは易く、行うは難しである。
二子山親方は師匠として、
「今の相撲を忘れずに。 相撲を知らない人でも若乃花を見てやろうという相撲をとってほしい
。」
同じ言葉を遊沢始め、君達に送りたい。
努力は無限、天才は有限。
どんなに才能のある選手でも努力を怠れば決して勝てない。
どんなに練習を積んでも、試合に勝っても、奢ったり満足したりしない。
たえず夢を大きく、目標に向かって無限の努力をする。
大切な勝利はその努力によってもたらされる。
たとえ才能に恵まれた人でも、努力をしなければ力を発揮出来ない。
しかし、努力はやろうという志と忍耐力があれば無限に続けられる。
何年か経てば、そこには想像を超える差が付くものである。