第4回 授賞式について
第4回(2021年)未来のいしずえ賞授賞式
2021年3月25日
「第4回未来のいしずえ賞」授賞式は、厚生労働省など公的機関が発表する最新情報とガイドラインに沿った対策を行い、緊急事態宣言解除後に授賞式が開催しました。
毎年、スポーツ・医療・保健福祉・教育・社会活性化の5部門に分け、未来に向かって豊かな社会のいしずえを築いた方々を表彰しています。
今回は、コロナ禍において医療の現状を見極めながらご尽力された方や、希望の光を作ってくださった方など、人知れず陰で支え活動された方々を対象に受賞者を検討しました。
感謝の気持ちを込めると同時に、困難な状況に対して引き続きご活躍されることを願って、授賞式を行いました。
主催者挨拶
KODAMA国際教育財団の大きな柱のひとつである、「未来のいしずえ賞」は、未来に向かって豊かな社会の礎を築くために人知れず地道な努力を重ねている方々の活動はもっと脚光を浴びるべきであり、称賛すべきであると考え、顕彰制度を立ち上げました。より良い社会へと導くために、強い意志をもって活動されている方々の功績を称える国際賞です。
これまで、スポーツ部門、医療部門、保健福祉部門、教育部門、社会活性化部門の各分野で活躍されている方々を顕彰させていただいてまいりました。今回は、5部門ではなくこの大変なコロナ禍で医療に関わる方に限定し、際立った貢献をされた方を選考させて頂こうと、山中伸弥先生にご相談したところ、先生もその趣旨に賛同され実行委員をお引き受け頂きました。
高橋弘枝さん、竹田晋浩さん、千葉茂さん、露岡令子さん、長尾美紀さん本当にご苦労様でございます。心から感謝申し上げます。
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未来のいしずえ賞 記念品に込めた思い
コシノジュンコ 実行委員長
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未来のいしずえ賞の審査選考について
岡山 慶子 実行委員
各賞発表と授賞式
高橋弘枝Hiroe Takahashi
(公益社団法人 大阪府看護協会 会長)
素晴らしい賞をいただき心から感謝申し上げます。
2020年は、様々なことを開催予定でしたが新型コロナウイルスですべてが飛んでしまいました。ただ、コロナ禍において看護師の本当の仕事を見ていただく機会に恵まれたかなと思っております。
大阪看護協会では第1号の患者さんが発生し、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港したときから、看護協会・職能協会として、何ができるか・何をしないといけないか・どうすればできるかということを、ずっと考えてきました。
その頃、大阪府から宿泊療養施設とPCRセンターの運営についてのご相談があり「これは看護協会がやらんで誰がするの」と決断しました。
実行に移せたのは、千葉専務、泉係長をはじめ、職員が一丸となってやり続けてくれたおかげです。
やりだすと、色々なことがどんどん広がってきます。でも、その広がったところを看護師さんたちが自ら手を挙げて協力してくれていることが、何より嬉しく誇りに思っています。この時期を精一杯がんばってやってきたいと思います。
色々な意味で私達の原動力になるのは、「看護師さん、がんばってください」という言葉やご支援です。ご支援があることが何より嬉しく、これからの活力に繋がっています。これからも邁進していきたいと思いますので、どうぞご支援・ご協力いただけますようお願いいたします。そして、本日はこの名誉ある賞をいただけましたことを心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
コシノジュンコ推薦人
(未来のいしずえ賞 実行委員長)
高橋さんとお会いしたのは1年半ほど前になります。
私が大変お世話になっております知人のご友人ということでお会いしたのです。
そこで、大阪看護婦協会の会長さんで、5万人の会員がいるとお聞きしたのが印象的でしたが、その後、コロナの時代になってしまい、高橋さんがどれだけ活躍されてどれだけ頼りになるかを知り、運命的にお会いしたのだと思っています。
看護師さんたちは命がけでお仕事をされていて、大変に感銘を受けます。
まだまだコロナは続くかもしれませんけれども、ますます活躍していただきたいと思います。
心より感謝申し上げます。本日はおめでとうございます。
竹田晋浩Shinhiro Takeda
(日本COVID-19対策ECMOnet代表・かわぐち心臓呼吸器病院院長)
今回の受賞を賜りまして本当にありがとうございます。
ウイルス性肺炎というのは、ECMOによって助かる率が高いということが医学的にわかっており、上手く活用すれば多くの命を助けることができるのではないかと、新型コロナウイルスがニュースになり始めたころ考えていました。
現在、日本でのECMOによる救命率は7割近くで世界一を誇っていますが、約10年前に新型インフルエンザが流行した時のECMO治療は先進国で最低でした。
私は学会の対策委員長で、その時からECMOの治療を如何に変えていくかということを考え10年間色々な仕事をして参りました。その結果が今回このような形で出てきて、多くの人々にECMO治療を提供できるようになったことは大変良かったと思っています
ECMO‐netという組織は、治療と同時にデータ解析を行っており、いま重症患者の治療がどういう形になっているかがグラフで分かるようになっています。現在の医療と医学が両輪でECMO‐netが活動しております。
残念ながら、コロナの今の状況はもうしばらく続くことになると思います。
我々としてはもうしばらくはしっかりとこの状況から人々の命を守れるように活動していくつもりでございます。
今回このような賞をいただいて、共に活動している者たちも心強くなったことと思います。本当にありがとうございました。
鳥飼重和推薦人
(未来のいしずえ賞 実行委員)
武田晋浩さんの先見性の高さにびっくりしました。
昨年、武漢で新型肺炎が発見された当時からECMOnet構築を始め、2月16日に本格的な実際の活動を始めて、いろんな対策を実践されています。
重症患者さんへの24時間対応電話に、ECMO患者さんの搬送も行っておられる。相談を受けたその現場で治療ができるような体制も、関係学会の協力などを得ながら実績を上げておられる。
なんといっても誇らしいのは、COVID‐19重症患者に対するECMOによる治療成績は世界で最も高く、救命率約70%という実績を残しておられることです。
これらの実績を拝見して、私どもは全員一致で、ぜひ未来のいしずえ賞を受賞していただきたいと決定させていただいた次第です。
本当にすばらしい活動をありがとうございました。
千葉茂Shigeru Chiba
(学校法人片柳学園・東京工科大学日本工学院専門学校・日本工学院八王子専門学校/理事長)
大変栄えある賞を受賞することができ、本当に光栄に思っております。
「サンクスナース」という、看護師の方々への感謝の気持ちを伝える活動が元々ありました。
一時期中断していましたが、コロナ禍で医療現場における看護師の方々の過酷な状況や危険を顧みない看護に対して、感謝の気持ちを伝えたいという多くの声がありました。
また、活動再開にあたって新しくシンボルマークを作りたいという話がありました。デザイナーが単にマークをつくるのではなく、医療保健学部の教員、学生と一体となって、マークに込める思いについて十分に深く考えながら、マークをつくってもらいました。
作業を通して、出来上がった作品についてデザイン学部の学生たちひとりひとりが、今まで知ることのなかった看護という仕事を十分に理解して、熱い思いでプレゼンテーションに臨みました。
我々片柳学園としても、サンクスナース活動を含めて、医療従事者の方々に対する気持ちを何らかの形でお役に立てる活動を続けたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。今回は本当にありがとうございました。
岡山慶子推薦人
(未来のいしずえ賞 実行委員)
1993年に日野原重明先生とご一緒に「サンクスナース」活動というのを始めました。そして、患者さんや家族のメッセージを看護師さんにお届けすること、そして社会にそれを広めることを活動の趣旨としておりました。
そこに、学校法人片柳学園 東京工科大学の千葉理事長が新たなマークをつくりましょうと協力を申し出てくださいました。東京工科大学は、日本でも希少な「医療保健学部とデザイン学部の2つの学部を併せ持つ学校です今日来ておられる両学部の2人の部長、篠原先生と池田先生が学部を挙げてご尽力くださいました。そして両学部の学生たちが大変な思いを込めてマークの制作に取り組んでくださいました。38人の学生がなぜこのマークをつくったのか、どんな思いを込めたのかをプレゼンテーションしてくださいまして、むしろこちらが本当に感謝の気持ちでいっぱいになるひとときでした。
若い人たちが自分たちの知識や専門性を活かして、このコロナ禍で貢献できることがあるんだということを非常に強く思ってくださいました。
この一連の取り組みに関して、本当にご尽力をいただいた千葉理事長を推薦させていただきました。
今日は応募作のなかで最も優秀な作品をつくられた吉野佑香さんも来てくださっています。
マークをデザインされた吉野さんにも改めてお礼を申し上げたいと思います。
露岡令子Reiko Tsuyuoka
(世界保健機関(WHO)ラオス事務所、健康危機管理課長およびコロナ感染症対策班課長)/ラオスよりリモート参加
児玉圭司推薦人
(KODAMA国際教育財団 理事長)
私は6年前に社長を譲りまして、何か世のため人のために立ちたいという思いで、ASEANの適当な国に子供の教育をするための小学校を寄贈したいと、いろいろ調べたところ、ラオスが教育の面で困難を極めているとわかって、サワンナケートというところに小学校を建てて寄贈しました。昨年はラオスのモデル校になる学校をつくりました。
ラオスは国民の95%が仏教徒、3%がキリスト教、1%がイスラム教という国で、非常に親日国でもありますので、当財団としても懸命に応援しています。
露岡さんは2001年にWHOに入り、20年にわたってカンボジアやラオスで健康危機管理対策班のチームリーダーとして感染対策に携わっておられます。
中東呼吸器症候群の対策準備にも関わられ、20年の1月に武漢で新型コロナウイルスの感染が確認された後は、状況を素早くラオス政府に伝えて、閣僚らを交えて開かれる会合に参加され、手洗い運動などをはじめとする予防対策や検査のトレーニングなどに取り組み、感染者が出た時の危機管理のシミュレーションを行ってこられました。
昨年3月24日にラオスの最初の感染者が確認された後は、ラオス政府に症例を含めた正しい情報公開と明確でシンプルなメッセージの提供の必要性を指導し、ラオス国内における新型コロナウイルスの感染を最小限に抑えることに尽力されています。
ラオスでは、コロナ感染者の累計がたった49名です。死者はゼロ、現在の感染者は4名、たしか3週間、感染者ゼロだったかと思います。
というわけで、露岡さんをご推薦申し上げました。
長尾美紀Miki Nagao
(京都大学大学院 臨床病態検査学教授/京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部部長)
このたびはこのような素晴らしい賞をいただき心よりお礼申し上げます。
私が教授に着任しましたその年に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが襲い掛かりました。
検査や感染制御という分野は非常にニッチで、医療の中では非常にマイナーな分野ではございますけれども、私たちに何ができるかを考えたときに、必要な人に必要な検査をしてあげること、しかも精度の高さが担保されていなくてはいけないと考えました。
多くの病院にPCR検査の自動機器を貸与し、使用法などの技術も伝えて、やっていただく。
それらの病院で得られた検体を京大病院に集約することにより、今は変異型ウイルスの検出計をつくり、広く情報公開をしています。正しい診断をするということ、そして恐れるにしても、正しい知識をもって恐れる必要があるということから、感染対策の知識の普及活動も始めております。
何かを成し遂げたということではございませんけれども、この1年でいろいろなことがわかってきました。次の1年が勝負の1年だと私は思っております。
未来のいしずえ賞の名に恥じることがないように、コロナを乗り越えた時代へと早く導くことができるように、引き続き精進して参りたいと思います。
山中 伸弥推薦人
(未来のいしずえ賞 実行委員)
長尾美紀先生は、2019年、2年前に京都大学医学部の臨床病態検査学の教授に就任されました。同時に、京都大学医学部附属病院の検査部と感染制御部の両方の部長を併任されています。
京大病院は非常に大きな病院で、検査部と感染制御部は両方とも忙しい大変なお仕事で、普通ならそれぞれ違う先生が部長を務めることが多いのですけれども、長尾先生は両方を一手に引き受け、ご自身の研究と共に2足ではなく3足のわらじを履いて、いつも飄々とこなされている姿に大変感心しております。
新型コロナウイルス感染症に対して、京大病院は他の大学病院同様、先進医療を行うという使命があります。この病気は、他の病気で入院した方、症状がない方、検査で来られた方であっても、感染しているかもしれないので、京大病院の運営にとっても大きな衝撃でございました。
そこで長尾先生はいち早く、医療従事者、入院患者さんの検査体制を構築され、先進医療病院、高度医療機能としての京大病院を維持することに貢献されました。そして、そこで得られた検査に関する知見や様々なノウハウを京都・大阪の30以上の病院と共有され、検査のネットワークをつくり、病院の検査技師さんに京大病院へ来ていただき、機械を貸与するなど、京大病院の枠を超えた非常に大きな検査体制をいち早く構築されました。
それにとどまることなく、京都市や大阪府の行政と提携され、京大病院を飛び出され、様々なエッセンシャルワーカーの方々や大規模なクラスターが発生した大学の運動部など現場の疫学調査も精力的に行っておられます。最近では変異型ウイルスのモニタリングも京都・大阪の行政のサンプルを中心に解析されています。
このような活動があって、京都・大阪の感染対策には非常に大きな貢献をされております。今回の未来のいしずえ賞にまさにふさわしいご活躍でありますので、推薦させていただきました。本当におめでとうございます。
受賞者 集合写真
授賞記念パーティ
来賓のご挨拶
河村建夫氏
(衆議院議員、元内閣官房長官、現自由民主党地方創生実行統合本 部長)
未来のいしずえ賞授賞式に出席するのは4回目になります。
コロナ禍の中での運営はなかなか大変だったろうと思いますけれども、本日、無事に開催され、立派な5人の方が賞を受けられました。心からお慶び申し上げます。
児玉さんの「社会貢献したい」という思いが結実してこのような素晴らしい賞が生まれました。これまでは、例えば、有名な選手ではなく、その選手を陰で支えた方々を顕彰するという趣旨でしたが、今回はこのコロナ禍という最大の課題に対して第一線で頑張ってこられた方々に焦点を当てての選考で、高橋さん、竹田さん、千葉さん、露岡さん、長尾さんの功績を改めて知って、私も感激の極みでございます。
今、世界のどこの国も大変な思いをしています。しかし日本は、世界の中で見ると、立派に抑制されていると思います。それは、受賞者の方々のような立派な方がおられることの証左だと思います。
今日、受賞された皆様がこれを契機にますます頑張っていただけると確信しております。色々な意味で国を挙げての体制でございます。政府もコロナをいかに抑えるか、そして経済をいかに回していくか、2つの難しい課題を背負って、菅総理も頑張っているところです。これも皆様の協力がなければできないことです。その一つの大きな現れとして、この賞を発表されたことを、心から嬉しく思います。
これからもいろいろな方を表彰されると思います。そのことが日本をしっかり支えてくれると思います。今日はおめでとうございました。
山中 伸弥実行委員
(京都大学iPS細胞研究所所長・教授)
5人の受賞者の皆様、そして受賞者を支えてこられたご家族、同僚の皆様、本当におめでとうございます。また、本日、大変お忙しい中、ご臨席賜りました河村先生はじめ皆様、本当にありがとうございます。
今回のこの新型コロナウイルスは、多くの人々の夢を奪い、未来を奪っていると思います。今日、受賞されました5名の方はこの新型コロナウイルスに、それぞれのお立場から立ち向かい、なんとかもう一度私たちが夢を見ることができるように、そして未来をしっかり見据えることができるように、活動されている方々です。それぞれのご挨拶を直接おうかがいして、本当に頭が下がる思いで拝聴しておりました。まだまだ新型コロナウイルスとの闘いといいますか、つきあいは続くと思います。これからもどうぞ日本のために、世界のために、ご尽力いただけるよう、心からの感謝とお願いをしたいと思います。
この1年ほとんどオンラインだけで、このような集まりに出る機会はありませんでした。今日この5名の方に直接お会いできて、お祝いの言葉を述べることができたことは本当によかったと思います。受賞者の皆様、本日は本当におめでとうございました。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
竹若敬三氏
(駐ラオス人民民主共和国特命全権大使)/ラオスよりリモート参加)
「未来のいしずえ賞」を受賞されました皆様に心からお祝いを申し上げます。
本日の授賞者の一人である露岡令子先生は、ラオスが新型コロナウイルスと闘う上で目覚ましい役割を果たされました。ラオスの医療体制は極めて脆弱であり、3桁の患者に対応できる病棟も施設もありません。ラオスにとって新型コロナウイルスは脅威そのものです。そうした中、露岡先生は、ラオス保健省とともにラオスの感染症対策の最前線で、昼夜、休日を問わず、奔走されました。露岡先生のことを「ラオス政府のかかりつけ医」と報じる記事があったぐらいです。ラオスの累計感染者数は49名、死者数ゼロにとどまっており、露岡先生はラオスにおける感染拡大防止に大きく貢献されています。
露岡先生は、ラオス政府の中にも深い人脈を有していらっしゃいます。ブンコーン前保健大臣は、「Dr Reikoは、SARSの頃から我々と寄り添い、当地公衆衛生体制強化を支援してくださっている大切な友人」と仰っています。ラオス政府・国民に常に寄り添い、協力して困難な課題に立ち向かう姿勢は、ラオスの人々に深い感銘を与えています。
昨年は日ラオス外交関係65周年,両国の戦略的パートナーシップ5年目という記念すべき年を迎えました。節目の年にあって、露岡先生は日ラオス関係に大きく貢献されました。同時に、露岡先生はWHOに所属され、国際的にも日本の存在感を高めたと言えます。日本政府を代表して、心から御礼申し上げます。日本とラオスの架け橋として、そして、ラオスの医療体制向上のために、引き続き御協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりますが、河村建夫・日ラオス友好議連会長はじめ、本日御出席の皆様が、新型コロナウイルスの中で日本と世界のために、それぞれのお立場から御貢献いただいていることに対し、心から敬意を表します。私どもも皆様と連携し、日本とラオス、世界の明るい未来のために引き続き尽力していく考えです。
皆様の御支援、御協力を宜しくお願い申し上げます。
締めの言葉
鳥飼重和 (「未来のいしずえ賞」実行委員)
受賞者の皆様、関係者の皆様、本当におめでとうございます。
この会で思ったのは、ケネディが日本で最も尊敬した政治家で、江戸時代にいちばん貧しい藩と言われていた米沢藩再生のきっかけをつくった名君・上杉鷹山のことです。
彼が掲げたのが、自助、共助、公助の「三助の思想」であり、「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」、やる気になればなんでもできるんだと言いました。貧しい藩でありながら、江戸時代の2つの大飢饉があったときに一人の死者も出しませんでした。精神の病で長生きできなかった奥さんを最後まで慈しんだ人でもあります。
「自助」というのは、自分自身がしっかりしなければだめだよということだと思うのですが、受賞した方々は皆自助をしっかりなさっています。共助というのは周りの方を助けること、公助は国家や地方公共団体が頑張りましょうということですけれども、皆さんずっと頑張ってこられて、さぞお疲れだろうと思いますが、本当にご自身の健康を維持していただいて、引き続きぜひ人々の健康と命を守っていただきたいとお願い申し上げます。
もうひとつ、上杉鷹山の言葉で「働き一両」「ひらめき百両」というのがあります。
働いたら一両稼げるけれども、ひらめきには百両の価値がある。もっと凄いのは、「無欲万両」です。
今日受賞された皆様は例外なく「無欲」だと思います。本当に社会のため、人のために、日本のため、世界のために、頑張りぬいておられます。人に感動を与え、自分たちも何かやらなければと思わせてくれます。そのような方々に本当に感謝を申し上げたいと思います。本当におめでとうございました。