あらゆる能力や可能性のみなもとは遺伝子にある

2000/2/01

以前(99.7月号)、遺伝子のことについて村上和雄先生から聞いた話を書きましたが、
今月は、その後の参考になる情報です。
目標を達成しようと強い意欲を持っている時や熱烈な恋愛をすると、ホルモン関連の
タンパク質の値が変動するという実験結果がヨーロッパの大学で発表され、注目されています。
この実験結果は、強い意志を持ったり、恋することが遺伝子のスイッチのON/OFFに関係することを意味しています。なぜなら、遺伝子が、どのタンパク質をいつ、どこの細胞で
つくれという指示をするからであり、意欲をもって、イキイキ・ワクワクすれば、遺伝子の
スイッチのON/OFFに影響を与えているのです。
今では、ガンを始めとする殆どの病気に遺伝子が関係していることがわかっています。
私達の体は、常に、病原菌の浸入を受けていますが、人間の体内には、生態防御システムという素晴らしい仕組みが備わっていて、病原菌が体の中に入ってきても、
すぐに抗体をつくって、それを無害化するのが、いわゆる免疫です、何千、何万という
病原菌のすべてに抗体が対応して、それを排除できる防御システムが免疫にはあるのです。そして、その何千、何万という病原菌の撃退法がみんな遺伝子に書き込まれているということなのです。
また、肉体面の健康やシステムの保持や活性化だけでなく、人間の精神活動もまた遺伝子の管理化にあります。思考や感情など心の働きは脳がつかさどっていますが、それも脳細胞が持つ遺伝子情報に頼らなくては、様々な指令を出すことは出来ない。
言語情報を脳から取り出さないと人間はしゃべることもできないが、その司令塔となるのは遺伝子に他なりません。そのほか、試合をするときも、トレーニングをするときも、音楽に
聴きほれるときも、遺伝子が、はたらいていないときは、一刻もありません。人間が
生きていくための全活動を、そのための情報提供を遺伝子は、いま現在も、一秒も休む
ことなく行っているのです。
遺伝子に書かれていることは、天才でも、凡人でも、その潜在能力のOFFになっている
部分を何かの作用でONにできる可能性は誰もが等しくもっているもので、その意味で
能力とは新しく身につけるものではなく、もともと持っていた力を目覚めさせる性質のものなのです。しかも人間の遺伝子情報はまだ95%もの不明部分があるのだから、何が
潜在能力として潜んでいるかは想像できないのです。
明らかになっている部分と不明な部分の比率からいっても、まだ無限に近い力が私たちの内部には眠っているのです。少なくとも私達が頭で『こうあればいいのに』、
『こうあって欲しい』と考える範囲内のことは、ほぼ100%可能になると村上先生は言っています。
周囲の環境や外からの刺激、或いは、心の持ち方や精神的な作用によって、眠っていた
遺伝子が目覚める、つまり『DNAの働きは変えられる』わけです。即ち私達の心や意識を変えることによって、遺伝子のON/OFF状態に影響を与えることができるのです。
私達の想像する以上に、心は大きな影響を体に与えていて、その影響の根本因子は
遺伝子とそのON/OFF機能にあるわけです。
以上のことをまとめると、遺伝子のON/OFF機能には後天的な柔軟性があって、
環境の変化や心のあり方で、その働きが変わってくる。
だから、トレーニングや節制や心の持ち方で、眠っていた遺伝子の働きをONにして、
肉体的にも精神面でもあらゆる能力開発につなげることが可能になるということです。
要するに遺伝子は、後天的に能力や生き方の幅を広げる可能性のある因子なのです。
それでは、『遺伝子ONの生き方』をするためには具体的にどうしたらいいか…
① 環境を変えてみる- (食べ物や栄養の取り方、トレーニングの 
                       やり方などの肉体的な環境変化も含む)
② 心の張りや生きがいをもって生きる。 
③ 明るく前向きに考える積極的な思考
④ 感動する心、感謝する心を忘れない
⑤ 強い目的意識と夢中になる力
⑥ 『人のため、世のため』を優先する利他の姿勢
⑦ 人との出会い、心と心のふれあいを大切にする
外的環境、内的環境を合わせて、このような考え方や生き方を心がけることによって、
よい遺伝子を目覚めさせ、健康や能力の向上、イキイキと楽しい人生を可能にする
ことが出来るのである。