野尻 博さんの話

2000/4/01

これは、君達の先輩で上阪俊司氏(S.53卒. 主務 前原正浩氏と同期)が
あるセミナーで聞いた話である。
野尻さんは、背中にドラムを背負ってギターやエレキ、シンセサイザー、ピアノ
といった、一人で7~8もの楽器を演奏するエンターテイナーです。自称大道芸人
とも言っており、その道では、日本より欧米での活躍が認められており、
欧米での方が有名な方です。
(クリントン前大統領が彼をひいきにしていた話は有名)
大道芸人というのは、道行く人の足を止め、注意を引き、関心をそそるように、
自分のパフォーマンスをアピールするということで、大変なエネルギーが必要で、
先日の野尻さんのお話や、演奏を聴いてもすごいエネルギーとすごいパワーを感じました。
お客さんに感動してもらうには、本物のプロであり続けなければならない、
そして、その本物のプロになるには、次の三つの要素を追求することが必要だ
とのことでした。
① 練習
② トレーニング
③ 稽古
なんだ、一に練習、ニに練習、三、四が無くて五に練習と言っているのと
同じじゃないかと感じた人がいると思いますが、実は少し違った意味が
含まれています。
「練習」は、「技術を磨く」ことで、一流のプロになるには一流の技術を身に
つけなければなりません。一流の技術を磨く為に努力する、これは、いいですね。
「トレーニング」は、「心と体を鍛える」ということです。どんなに一流の技術が
身についてもそれをどんな場面、どんな境遇においても出せなければ何にも
なりません。一流の技術を発揮できる強い心、広い心を鍛えなければならないし、それを支える体力を向上させ、健康を維持させていくことが大切です。
「稽古」は、「芸を磨く」ということです。芸を磨くというのは、自分の目指すものに究極的に何が必要かを見極め、それを追求していく姿勢をいいます。例えば、野球選手が集中力をつける為に座禅を組んだり、或いは、剣道や相撲の練習に参加したりしますが、そういったことです。
以上の三点ですが、一番目の技術を磨くことについては誰しも一生懸命になれる
ところですが、二番目、三番目となると最近のプロと呼ばれる人達の中でも
目をむく度合いが少なくなり、関心が薄れていく傾向に有るようだと言われて
いました。
また、これは何も芸人やスポーツの世界に限ったことではありません。広く一般の我々にもいえることではないでしょうか。
例えば、一番のものを持とう、自分の得意は何か、それを伸ばしていこうと
よく言われます。そういった時にこのことを少しでも意識して努力していくように
すればよい。…と思いました。(上坂俊司氏談)
ある有名なピアニストは「体や指先が勝手に動くまで練習する以外方法は
ありません。そして、どんな挫折にもあきらめず、練習し続ける強い思いが大切。
運でピアノは弾けません。できるまでやる!それ以外に方法がありますか?」
ただ、それだけのことだという。結局、今日もどんな夢を掲げ、
どれだけ努力したか…難しいことだが、非常にシンプルである。
人生はすべて自分で決めているのです。