本気で”打倒中国”を目指そう!

2015/5/01

『本気で“打倒中国”を目指そう!』

私は、卓球関係のいろいろな会合や懇談会などで、
今の中国選手は、男女共、以前の選手に比べれば、組みしやすい、
だから、徹底的に研究し、特に、心・体について自分の限界に挑戦する位の努力をすれば、
日本には勝つチャンスが十分にある・・・と常に力説している。
多分、現在の卓球関係者で、本気で、真剣にそう考えているのは、
私一人ではないか・・・と思う。

今回の世界卓球では、混合ダブルス2位、男子ダブルス3位と健闘はしたが、
結局、ことごとく中国の壁を打ち破ることが出来なかった。

言葉を飾らずに言えば、現在の卓球関係者は、
指導者も選手も、「ビンの中のノミ」状態に陥っているのが現状で、残念に思う。

「ビンの中のノミ」とは、小さなビンの中に、ノミを入れると跳ねて飛び出してしまうが、
フタをすると、ぶつかって出られなくなる。
しかし、何回もやっているうちに、ノミはフタにぶつからないように、飛び跳ねるようになる。
そうしているうちに、今度は、フタを外してもノミはビンから出ず、
ビンの中を飛び跳ねているだけになる。

日本の卓球界は今、このビンの中のノミ状態になっているのではないか?
本当は、現状の3倍も4倍も飛躍できる能力を持っているのに、
「まあ、今の日本は、中国に勝てなくてもメダルを取ればいい」と決めつけて、
実際の力の2分の1か3分の1位しか実力を発揮していないのではないか。

まだまだ自分達には大きな可能性があることを信じ、自分の心のビンのフタを外し、
大きく飛躍しようとしたら、今の何倍も、成果をあげる人は沢山いるのではないか。

先般、ある会合で為末大氏(世界陸上2回の銅メダル)が次のような話をした。
陸上競技では、1920年代に1600mレースで、イギリスのロジャー・バニスタ選手が
人類で初めて4分を切りました。
4分を切ると身体に問題が起きるため不可能と言われ、
それまで世界記録はずっと止まっていました。
興味深いのはその後で、彼は1年もしないうちに世界記録保持者ではなくなりました。
23人の選手が4分を切ったのです。
人間がいかに自分達の限界を社会の常識で縛っているのかということです。

つまり、誰かがクリアすると、自分もやれるのではないかと次の人がチャレンジし、
限界が突破されます。

日本のスポーツ界でわかりやすいのは、
野茂英雄さんのメジャーリーグ挑戦後の日本人メジャーリーガー数です。
イチロー・松井・松坂・ダルビッシュ・田中選手ら、60名近くの選手が挑戦してきました。

日本の野球選手の能力が向上しているわけではなく、野茂さんが限界を破ったのを見て、
自分もやれるのではないかと思ったのではないかと思います。

私は、限界を破ることをみんなが共有することが
スポーツの持つ最も大きい力、価値だと思います・・・と語っています。

卓球では、松下浩二がプロ第1号として、ドイツのブンデスリーガーに挑戦し、
その後、続々と若手選手がドイツに渡り、成果を上げてきたが、
以前のヨーロッパは、レベルが高く、中国にも勝ったり負けたり、覇を争っていたが、
今は全くその面影もなく、退潮の一途をたどっている。
そのような環境の中、大局観もなく、未だにヨーロッパ指向の若手選手が多いことは、
なげかわしい限りである。

人間は環境の産物です。生まれついての才能も勿論関係するけど、それが芽を吹いて、
花を咲かせるかどうかは、その人が置かれた環境に左右されることは間違いない。
恐ろしいことに、中々芽が吹かない環境に身を置き過ぎると、時が経過していくと共に、
自分のレベルはこんなものだと思い込んで、そこに馴染んでしまう。「貧すれば鈍する」のである。
“これは難しい”“これはムリだ”と決めこんでしまえば、できるものもできない。

しかし、人間は本来、無気力を跳ね除ける力を持っているのです。
自分の意志や、意識の持ち方によって、環境を変えていくことができる。それが向上心です。

今の日本は、年間を通して、合宿ができるすばらしい環境を備えている。
指導陣と選手が一体となって“打倒中国”を命題に徹底的に研究し、
努力することを最優先に考えることである。

現在の日本は、男女共、可能性を秘めた選手が群雄割拠している。
過去数十年記憶にない位、楽しみな時代だ・・・と私は感じている。

やればできる、必ずできる。と信じてこそ新たな気づきが得られ、工夫や対策も生まれてくる。
やる気があれば必ず出来る。
大きな夢と、高い志を持って、果敢に挑戦していこう。