新年度スタートに当たっての雑感(考えて工夫する そして実行)

2015/4/01

『新年度スタートに当たっての雑感』
(考えて工夫する そして実行) 

明治大学卓球部では、昨年、東京で行われた世界卓球選手権大会直前に、
モルディブ選手団のトレーニングキャンプを協力したことがきっかけで、
アハメド カリール駐日全権大使と親しくなり、今回、モルディブ共和国に招待され、
先月の3月16日から22日まで行ってきました。
モルディブ国立大学の副学長や、スポーツ大臣、オリンピック委員会幹部の方々と
面談すると共に、密度の濃い卓球交流も行い、充実した遠征を終えて帰国しました。

その際、6名の選手を帯同しましたが、
連日一緒に行動することで、改めて選手個々の長所を発見し、
彼らの今後の成長が楽しみになりました。

指導者の役割は、単なる選手の育成ばかりではなく、
スポーツを通じた“人間力”を高めることにある、と、思っています。
私は「選手をつくる」という言葉は大嫌いです。 「選手は育てる」のです。
人一倍努力する素質と、高い目標を持った選手にめぐり会えた指導者は、
本当に「運」がいい幸せな指導者です。
そういう選手を、指導者自身が勉強して、アンテナを張って、
世界で活躍する選手に「育てる」ことが何よりも楽しみであり、役割であると信じています。

先月号で、稲盛和夫さんの話をしましたが、
人の成功は「考え方」×「熱意」×「能力」の掛け算だと言われていました。
人が成功するためには、能力や熱意がいくらあってもダメで考え方が最も大事だと。

私は、心・技・体のうち最も大事なのは、「心」だと常に強調しています。
それは、「心」=「考え方」が正しく、優れていれば、
自分の目指す夢や目標に向って、どのような心の持ち方が大事か、或いは、
どういうレベルの技術や体力が必要か、ということをよく考えることが出来るからです。

しかしそれだけではダメで、自分で判断し、決断した考え方を行動に移さなければなりません。行動に移さない限り何も変わりません。考えただけ、決断しただけではダメだということです。
行動して結果を出してこそ、考え方が実り、評価されるのです。
すべては、「優れた心」や「考え方」も行動に移してこそ実現され、結果を出す
ことが出来るのです。

先日、久し振りに電車に乗ったとき、見かけました。
大学生が期末試験か何かの、英語の教科書を懸命に読んでいました。
その彼がページをめくるときに、ふっとお年寄りが乗り込んできたのを見て、
さっと立ち上がって直ぐに席を譲りました。
私は心の中で「君は偉い、きっと成功するよ」と声を掛けてあげたかった。

自分がやるべきことを、さっとさりげなく行えるのは、すばらしいことです。
最近はそういう若者が増えてきましたが、やろうと思ったけど、
何となくやり損ねて、気が付かないフリをする人も結構多いのではないだろうか。
廊下にゴミが落ちていたら拾う、人の集まる所でスリッパが脱ぎ散らかしてあったら揃えるなど、
小さなことでも、良い習慣を身に付けることで、人はどんどん成長します。

今、企業でも一人前になるまでは育ててくれます。そうしないと人件費に見合わないから。
しかし、それ以上、一流の人になるまでには育ててくれません。
それは、各自が自分で努力することだからです。
一人前と一流は違います。一人前のさらに先に一流があるのです。
自発的に勉強し熱意をもって努力し、一生学び続ける一流の人になってもらいたい━と思います。

そういう人に育てるのが私の務めであり、人材を人財に育成する要です。

今日一日、精いっぱいやったかどうか。
今日一日、一歩でもいいから進歩したかどうか。

仕事でも、卓球の訓練でも、与えられている時間内に集中して懸命に努力する方が、
だらだら時間を掛けてやるよりはるかに、よい結果を生みます。

何故かといえば、集中して早く終わる人の方が、一生懸命工夫してやるからです。
もちろんコツコツ努力することは重要です。大事なのはそれを速くやること。
速くコツコツ努力することです。

「工夫」するということは、言い換えればスピードです。確実に地道にやるのは当然のことで、
それをより速く、より効率的にやる方法を工夫することです。

目いっぱい願晴って毎日少しづつでも進歩して、
そして、最後の締めくくりの努力をして気持ちよく一日を終わることが理想です。

常に「改善点はないか?」と考えて工夫することで、人は伸びて成長します。
「何かもっと良くできる方法はないか、改善できる点はないか?」と常に考える力、
これが人間として成長する最も大事なことである・・・と確信しています。