心理面をよく理解し、自ら精神力を強化しよう

1998/12/01

先般、指導陣(児玉・渋谷・佐藤・小畑)が集まり、卓球部の将来と選手育成の為の
心・技・体について徹底的に話し合った。
その内容について、これから何ヶ月かに亘って話をしていきたいと思う。
まず、今月はスポーツ選手にとって最も重要な心理面について話をしよう。
今年のスポーツ界は、心理面で特筆すべき話題が多かった。
長野オリンピックのジャンプ陣やスケートの清水宏保選手。
清水選手は決勝のスタート前にアクシデントがあり、中断して自分のスタートが遅れた時、
「自分の間合いになったと思った。」と言った。素晴らしいプラス発想であり、強靭な精神力の持主だなと感心した。
全米女子オープンゴルフ優勝の朴セリ(韓国)。
野球では、横浜の大魔神、佐々木主浩。
マーク・マグワイアの70本、サミー・ソーサの66本という超人的な記録。
マグワイアは数年前には、何もかも絶望という心境で生活がすさみ、離婚、怪我と様々なトラブルを乗り越えて来た。
ソーサも小さい頃、靴磨きから始まって、色々なことをやり母を助け、現在は次の世代の為に学校を作ったり、色々な寄付を続けている。
和魂洋才という言葉がある。
日本が発展したバックボーンには、日本古来の自制心、忍耐力、克己心というものを失わずに外国の知識や技術を取り入れて努力する。という意味である。
今年栄光に輝いた選手達は、色々な苦難を乗り越え、自分の限界を伸ばす努力を重ねた結果、強靭な精神力の持主となった人達である。
平常心
思いがけないこと。新しいことに動じない。
色々な試合とか大会に備えて相手チームを研究したり分析したりするが、
我々が予期しない戦術や、予期しない技術にぶつかることは常識である。
したがって思いがけないこと、新しいことに対しての心の備えが大切である。
不意打ちにあっても、動じないような心“平常心”というか“不動心”というか、
そういう“心の力”を養うことが大切である。
対応力
試合中に対応策を考える。
次にそういう新しいことに対して、試合が始まってから終わるまでの時間に相手に慣れ、
対応策を考えることが大切である。
インテリジェンス(知的作業力)Intelligence
全く未知の新しい環境に投げ込まれた時にどう対処して解決していくかという能力。
判断力
新しい技術に対応するやり方は色々ある。それを自分の技術と結び付けて、どう判断
するかという“判断力”を養っていくことが大切である。
決断力/実行力
そして判断をしたら決然と実行に移す。
せっかく良い判断をしたにもかかわらず、思い切って実行に移せないという人が意外
に多いものだ。消極的になって失敗した例は数え切れない。
試合中、こちらが苦しい時は、必ず相手も苦しい時なのだ。
その時に思い切って積極的に行くか、消極的になるかが勝敗の分かれ目となる。
このような“決断力”と“実行力”を養っていくことが大切である。
意志力
自分の限界に挑戦しようと苦しい訓練に耐え抜いていく意志。
自主的にやればやる程、よい結果が出るものである。
指導者にとって知っておかなければならない重要なポイントとして、
脳の働き(利き脳)がある。
左脳の働き:言葉・文字・記号を使って論理的に考える機能
読む・書く・話すといった言語に関する機能等
右脳の働き:物事を直感的にイメージしたり、想像的な発想の感覚機能がある。
絵を描く・音楽を聴く、演奏する等の能力が直感的に分かる等
1.論理的に理解し、論理的に表現する。(左脳型)
2.直感的に理解し、直感的に表現する。(右脳型)
3.論理的に理解し、直感的に表現する。(中間型)
4.直感的に理解し、論理的に表現する。( 〃 )
というように人には利き目、利き腕(手)、利き足があるように、脳の働きについても様々である。
だから、選手の性格や脳の働きによって、どのようなアドバイスが最も有効であるか….ということを重視することが大切である。