『必勝』と『不敗』、『勢い』

1999/5/01

勝負というのは「勢い」があるほうが勝つものである。
積極性とか、ファイトとか言った意味も含まれるが、今、ツキに乗じているか、自分の調子はどうか、
流れはどうか、と言った冷静な判断を下しながら、その一方で、自分に自己暗示をかける。
“ここは打って出なくてはダメだ。打って出る絶好のチャンスだ。”とツキに乗じた行動で、
思い切り強気に出る場合は、殆どと言っていいくらい成功する。
これは卓球に限らず、どんな勝負でも同じだと思う。
自分が苦しいときは、相手も苦しいんだ。 そこで強気になって思い切って攻める。
ところで、「勢い」というと攻めて行く感じが強い。
確かに、攻めている状態での「勢い」の方が言葉として理解し易いものかもしれないが、
「受け」の場合にも、勢いというものがある。
「受けの勢い」というのは、守りではあるけれど、決して手堅く守っているだけではない。
ボクシングのクリンチのように、パンチをひたすら避けているだけではなく、
いつでも殴り返してやるが、その為にとりあえず守っているという「受け」。
自分がこの態勢になったら、必ず攻める…..という前提で受けているということである。
要するに、勢いにも-先の先、後の先がある。
勝負には-必勝(先の先)と不敗(後の先)の考え方がある。
必勝-先手必勝51% 攻撃は最大の防御なりという発想
不敗-攻撃にはスランプがあるが、守りにはない(少ない)
攻撃は精神的にビビったらどうしようもないが、守りの一流の技術は90%~95%位は見込める。
また、守りの技術に自信があれば、精神的に余裕が出て、攻撃も良くなってくる。
卓球は、「攻め」と「守り」を交互に行いながら、(5本づつ)21本先取を争う競技。
「攻」と「守」は並列ではなく、表裏の関係。
自分の態勢を固めておいて、敵の崩れるのを待つ。
不敗の態勢は自分で作り、勝機は敵の態勢から見つけ出す。
つまり、タイミングが重要であって、たとえどんなに実力があっても、タイミングを逃す人は成功しない。
機を見るに敏な人が、本当の実力者なのである。
実力のある者同志が戦った場合には、このタイミングというものが全てを決する…
と言っても過言ではない。
つまり、第一に そのタイミングを見極められるか。
第二に ここと思ったときに打って出る準備をしているか。
第三に 決定的場面で勇猛果敢に打って出られるか。
ということが、「勢い」です。
したがって、そのタイミングではないときに、じっと我慢するのも「勢い」である…
ということを忘れてはならない。