チーム愛

2000/6/01

人によって多少の違いはあると思うが、選手は自分のチームに愛情を持っている。
負ければ悔しい…当たり前のことだ。
勝ったときに爆発して喜べる選手なら、負けたときの悔しさも大きいに違いない。
「結果を気にするな」とよく言われる。
試合中にクヨクヨと結果を気にしていてはダメ。
しかしその結果、出た答えを気にしないようでは進歩はない。
たとえ自分の勝ち星につながらなくても、チームが勝ったという結果に全てを忘れて喜べる、
そんな選手が多いチームほど強い。
「これだけ練習しているのに負けてたまるか。何としても勝たなければ…」と、
この勝負への執着心こそ、チーム愛の原点である。
「勝負はまず敵を呑んでかかれ」という。
昔から精神的に優位に立つことが、必勝法の第一と教えている。
「どうだ、うちのチームはすごいだろう...」と、選手が胸を張れるように、
上に立つ者は気を配らなければならない。
まず、明治大学が他の大学より進んだ考え方で、優れた卓球をしていることにプライドを持つ。
選手が気が付かなかったような世界のトップレベルの技術の動向や、
細かいデータの収集をしたり、相手戦力の分析をしたり。
強化の為に海外遠征(中国、ヨーロッパ)させたり、単独で武者修行に出したり。
「明治大学は内容のある遠征をしたり、いろいろな面で研究が進んでいるみたいだな」
と、外部の人達が感心してくれる。
こういった声は必ず選手に届くものだ。
外部から入ってくる評価を聞いて、選手達も「うちは他の大学やチームより進んだ卓球を目指して、どこにも負けない練習をしているんだ」と認識する。
それが、自信となり、誇り高い選手へと育っていくのである。
日本の登録プロ1号選手となってドイツの“ブンデスリーガ”で大活躍している
松下浩二選手も学生時代、単独でスウェーデンに武者修行をして、
大きな刺激を受けたのである。
ユニフォームも大事だ。
昭和52年(1977年)頃、当時はミズノのトレーニングウエアが物凄い人気で、
世間で大評判になっていた。
明大卓球部も是非、これに変えたい…と当時の長尾主将が言ってきた。
私は答えた。
「それは買えば誰でも着られる。
しかし、このウエアは明治しかないオリジナルだ。
もし、表彰台に乗れるようになったとき(当時の明治は万年Bクラスだったが)には、
一際目立つはずだ。
そうしたら、このウエアは強さの象徴になる。
そして将来、小・中・高校生のあこがれの的となるに違いない。」
私は若い頃(中学時代、野球の選手だった)、巨人のユニフォームにあこがれていた。
強さの象徴であると同時に、人気のシンボルでもあった。
胸を張って着れるかどうか、ユニフォームにはチームの勢いがそのまま反映する。
「どうだ」という感情が「愛着」につながる。
選手だけではない、ファンの方々も同じように思って下さる。
みんなが「愛着」を持ってくれるようになれば素晴らしい。
その後、明治大学は何回か全盛時代を経験し、今、日本の卓球界をリードしている。
そしてこの「 」のウエアは、小・中・高校生の「あこがれ」となっている。
君達も卓球を始めた頃、将来はあのウエアと のユニフォームを着て活躍したい…
と思ったことは一度や二度はあるだろう。
今、君達は、その夢が現実のものとなっているのである。
大学4年間は漠然と過ごしていれば、あっという間に過ぎて行ってしまう。
自分の夢の実現に向かって、もっと誇りと自信を持って、もっと努力しなければ、
余りにも勿体ないではないか。