卓球ニッポン再生の道に思うこと

2007/9/01

先日開催された、全日本大学対抗卓球選手権大会(8/2~8/5)で、
私は次のような開会挨拶をした。
私は就任時の理事会で、選手強化の面を重点施策の一つとして取り上げました。
昨年春に行なわれましたアジアオリンピックで、男女合わせて28ケのメダルがありますが、
日本は0という結果でした。
今年の世界選手権ザグレブ大会では、男女共ベスト16にすら一人も残らない。
又、その後のジャパンオープンでは、男子は2回戦で女子は3回戦で全員敗退という
結果です。
日本の卓球が、世界の舞台に参加するようになってから、このような低迷振りは
前代未聞のことです。一卓球人として、誠に残念であり、恥ずかしい思いです。
しかし、今の若い選手は、非常に高いポテンシャルを持っている選手が大勢います。
勿論ここにいる選手の中にもいます。卓球ニッポンの再生は必ずやれる筈です。
皆さん!! 高い「志」と高い「目標」を持ってください。
打倒中国を目指して、王励勤に勝つにはどうしたらいいか、張怡寧や王楠に勝つには
どうしたらいいかを徹底的に考えて行動を起こす選手が、ここにいる選手の中から
出て来て欲しい・・と心から期待いたします。
能力の差は5倍程度だが、ヤル気の差は100倍にもなると言われております。
これは真実です。
開会の辞としては異例の挨拶になりましたが、是非私の真意を汲み取って頂きたいと
思います。
男子は早稲田大学が3年ぶり、女子は青山学院大学が14年ぶりで優勝し、
大会は成功裡に終了しました。
その後、日韓大学卓球交流戦(8/27~29)が東京で行なわれ、
そこでは、次のような開会挨拶を致しました。
この日韓大学交流が、世界の学生卓球界発展のために大きな役割を果していけるよう、
お互いに努力していきましょう。
そして、日本と韓国が隣国でありながら、歴史的な様々な難しい問題も抱えて参りました。
卓球を通じて、日韓両国の親善に大いに貢献することを祈っております。
同じことをやっているのに、人によって結果が違うのは何故でしょうか。
それは、どれだけ「強い思い」をもって、やっているかの違いだけです。
アテネオリンピックで、韓国の柳承敏選手が優勝するとは、誰が予想したでしょうか。
世界中で殆ど誰も考えていなかったと思います。
彼の「思いの強さ」が成させたワザだと思います。
この交流戦を通じて、是非彼のように「強い思い」を持った選手が出現してくれることを
心から期待しております。
という話を骨子として挨拶しました。
そして、日韓交流大会終了後のパーティで、
下山・久保田選手(早大)が私のところへ挨拶に来た時、
「インカレの挨拶や今日の挨拶もよく聞いてくれたかな」
「はい。いつもリーグ戦などで、児玉さんの挨拶は楽しみにし参考にしています」
「そうか、それは嬉しいな。事実、今の中国は王励勤も馬淋も随分長い間、
世界のトップで活躍している・・・ということは、中国でも彼等を追い越す若い選手が
育っていないということだろう。今なら打倒中国は必ず果せると思うよ。」
「ただ、訓練の内容も日本の選手より、中国や韓国の選手の方がはるかに量も多く、
質も高いので、それでは勝てるわけがない。
日本一になるには、日本一になるための困難を乗り越える覚悟が、
世界一になりたいと思ったら、世界一になるための困難を乗り越える覚悟が必要だよ。
その上で、自分自身でどの位「強い思い」を持てるかどうかが勝負だ」
というアドバイスをした。
両選手とも真剣な眼差しで聞いてくれた。
最後に私は、
「このことは頭で理解するのではなく、心で理解して、ちゃんと「心の引き出し」に
仕舞っておいてくれたら嬉しいな」と言って話を締めくくった。