山中伸弥先生(ノーベル賞)に学ぶ

2015/2/01

『山中伸弥先生(ノーベル賞)に学ぶ』

昨年7月、ノーベル生理学・医学賞の山中伸弥先生の講演を聴き、その後ご縁が繋がり、
11月には、京都大学iPS細胞研究所を訪問し、直接、先生と面談をさせていただきました。

山中先生の研究の支えになっているのが、「VW」 「VW」とは、ビジョンとワークハードの略
これは、グラッドストーン研究所に留学していたとき、ロバート・メリー所長から、
「研究者として成功する秘訣は「VW」だ。「VW」さえ実行すれば君たちは必ず成功する。
研究者にとってだけでなく、人生にとっても大事なのは「VW」だ。
「VW」は魔法の言葉だ」と教えられた。

ビジョンとは・・・長期的な目標  ワークハードとは・・・一生懸命に働くこと

研究者としても、人間としてもこの二つが大事で、どちらが欠けてもダメ。
目的を明確にして一生懸命に努力する。シンプルだが、実践するのは難しい。
当時の自分は、ワークハードでは、誰にも負けない自信があり、目の前の目標も見えているのに、
気がつくと長期的なビジョンが見えなくなっていた。治らない病気を治したいという原点に戻って
それ以来、この「VW」という言葉をしっかり心にとめて、今でも大事にしている。

現在、京都大学iPS細胞研究所の所長として心がけていることは、
研究者や全教職員に向けて、「われわれが目指すのはあの山の頂なんだ」と、はっきり示すこと。
そうでないと単に山を散策するだけで終わってしまう。
ちょっとずつでも山頂に近づくための研究や実験ならいくらやってもいい、
でも、適当にやっているんだったらそれはやめようと。

研究者が研究の目指す山が高いほど、モチベーションを維持することは、結構難しい。
臨床医と基礎研究の場合、どちらも目的は患者さんの病気を治すことですが、
臨床医は目の前の患者さんの病気を治すのが仕事で、短期間に結果がはっきり出る。
一方、研究者は短期間では患者さん一人治すこともできない。
その研究を長く続けていって成果を出す、そして、何千人、何万人という患者さんの
今まで治らなかった病気を治すことができるようになる。
しかし、実際に研究をやり出すと、最初のうちは目の前の実験結果に一喜一憂して
非常に楽しい毎日が続く。でも、数年経つうちに、これをやっていて本当に患者さんの病気が治せるのか、という疑問がわいてくる。ずるずるとモチベーションが下がってくる。
そこで考えた結果、自分の中で決めたのが、
どうせ研究をやるんだったらおもいっきり高いところを目指そう・・・と。

最初から一番を目指さなかったら、最初から志を高く持たなかったら、
良い結果など生まれるはずはない。 だから、てっぺんを目指そうと。

そこから運よく、髙橋君や多くの素晴らしい同僚にも恵まれて、iPS細胞ができた。
その最も大事な目標をはっきり示すために、
「Center for iPS Cell Research and Application」とつけました。C i R A(サイラ)はその略称で、
基礎研究だけではなく、臨床応用を目指す研究所です!と。
世界中の研究者に向けて、研究所の存在目的、目標を明確に掲げることで、
よりモチベーションの高い研究者や臨床医が集まってきてくれている。

iPS細胞の技術ができたことで、無理かもしれないと諦めかけていた高い山に、
願晴ればいけるかもしれないと。
とくに難病の患者さんを診療している多くの臨床医、
多くの研究者にとって、大きな希望の光であり、勇気となっている。

最後に、非常に険しい絶壁のような難所が残ってはいるが、
ここまできたらいけるんじゃないかという希望、最後まで願晴ろうという勇気を
与えてくれたのがiPS細胞技術です。

研究所で働いている300人のうち、臨床医はごくわずか。
理学部や農学部など他学部出身の研究者、あるいは大学院生や若い研究者たちには、
「医者であろうとなかろうと、この研究をやることで患者さんの病気を治せるようになるんだ」と
部下に夢を持たせること、そのためには、ビジョンを語り続けること!

山中先生には多くのことを教えられましたが、まだまだ、とても書き切れません。
世界中の人類のため、一日も早く先生の研究成果が実りますことを心から祈っております。

「天は自ら助くる者を助く」この言葉は成長原理の根源です。
「自ら助くる者」とは何でしょうか?
他人に対する依頼心を持たずに、自らの努力よって生きる人です。
天(神様)が助けたいと思うのは、このような自律心のある人です。
天(神様)が味方になるのですから、その自律心のある人は最強の人となり、当然の如く
成長することが出来ます。

素直に学び、自律した努力をし、イキイキとした人生を歩んでいきましょう。