田部井 淳子さん講演 (世界最高峰エベレスト 女性初登頂者)

2005/12/01

先日、世界最高峰エベレストの女性初登頂社の田部井淳子さんが
当社の全体ミーティングで講演をして頂いた。
貴重な体験に基づいたお話を、ユーモアを交えながら教えてくださり、
社員は、感動しながら、時には笑いの渦に包まれ、じっくりと聞き入っていました。
人間何かに狂ったように夢中になる時期というのは絶対持つべきだと思います・
何かに夢中になれるものを持っている人の方が時間の使い方はうまくなります。
1971年の春、エベレスト登頂に「女性だけで行くぞ」と決断して、
女性の登山メンバーを募集しました。
登山をしている人に声をかけてみると
「ヒマラヤですか、行ってみたいです。特にエベレストだったら、
一度でいいから見てみたい」という答えが返ってきます。
しかし、その「行きたい」という言葉の後で、ほとんど必ず「でも」という返事に出くわします。
・・・生きたい、でもお金が無い、技術が無い、体力が無い、暇が無い・・・と
行けない理由を先に言います。
そういう「でも」という人は結局、やるという「意思」が無い人です。
何故、「どうすれば行けるか」を考える前に、
自分から出来ない条件を作ってしまうのでしょうか。
「どうすれば行けるか、どうしても行きたい」という意志が大事です。
私は「南極に行きたい」と思った時も「南極に行きたい」と書いた紙を
目につくところにベタベタと貼って、絶対行くんだという思いを日々強くしていました。
それほどの思いがあったからこそ、南極行きも実現したのだと思います。
「人間に与えられた器官で無駄なものはない」という言葉があり、
本当に「人間の体は凄い」とつくづく感じた。
エベレストの登頂は一瞬の出来事でした。
その一瞬のために逆算して計画を立て、1400日という長い間、色々な地域で
色々な職業を持った女の人が集まり
徹底的に調査して、リストを作って、工夫に工夫を重ねて準備をしてきました。
これが出来たのも、単に体力とか技術だけが優れていたからではありません。
本当にやろうとする意思があったからこそ、1400日の準備、130日間の登山、という
この長い時間に耐えられたのではないでしょうか。
この意思はお金で買うことも出来ないし、人から作ってもらえるものでもない。
本当に自分の心の中からなにか燃え上がるような、
そんなファイトが沸いて意志となるのです。
それだけに意志は尊い。
意志こそ力だ、と私は思います。
登山の時、一番必要なものは、困ったときや自分達がどん底に陥ったとき、
「ではどうすればよいか」ということを考えられる力です。
解決する方法を考えることができなければ、
突発的な状況にも対処出来ません。
困った時、相手のことを責める人がいます。
問題があるときにどうすればそれを乗り越えられるか、前向きに考えられる人と、
それをいつまでも人のせいにして後ろばかりを振り返る人がいます。
両者にはすごい差があります。
原因を探り、どこに原因があるのかを発見し、それに変わる案や解決方法を
見つけられれば、それを乗り越えることにつながります。
常に前向きに物事を考えられる人は、本当にやる気がある人だと思います。
「やりたいこと」を実現するのに、「やろう!!という意思」
そういう自分自身の意志こそが何よりの力となります。
現在66歳となって「今までよりもっと密度の濃い人生を生きていきたい」という。
そして、最近になってピアノを習い始め、歌も習い始めたら、
その1年後の今月の12月2日には独唱会を企画して実行する・・・
この行動力には流石の私も舌を巻いてしまった。
最後の言葉は「意志はお金では買えない。誰からも貰う事も出来ない」であった。