自ら考え、自ら実践しよう!

『自ら考え、自ら実践しよう!』

過日、出版社より「20代をどう生きるか」というテーマでの取材を受け、

自分自身の20代を振り返ることにより、 「自ら考え、自ら実践する」「努力に勝る才能なし」

ということの大切さを改めて伝えたいと思った。

「絶対にあきらめない執念」「情熱があれば事は成る」 「熱意は自分を動かし、人を動かす」「感動・感激を味わう」 「量は質に転換する」「努力は才能に勝る」など、

卓球を通して得た教訓は、私の人生と企業経営の基礎となり、土台となっている。

また、私が20代後半に、深く感銘を受けた 山岡荘八の『徳川家康 全26巻』も

私の人生に大きな影響を与えてくれた。

力がないといった惨めさや、苦しさがあったとき、

『天は我に過酷な定めを与えた』『我は天に試されている』と考え、 慎重であり尚且つ大胆、辛抱強さ、絶対にあきらめない執念、 といったことはこの本によって教えられた。

私は中学の卒業間際に、あるキッカケで卓球の魅力に取りつかれ、

春休みの1ヶ月間、町の卓球場で朝9時から夜9時頃まで濃密な時間を過ごした。

そして、高校の卓球部に入ってから、毎日朝早く起きて、

4~5kmランニングすることを日課とした。

これは誰に言われたわけでもなく、卓球は足腰が大事と思い、 自ら進んで始めたトレーニング。 コーチを受けた経験がないので、何でも自分で決めて行動した。

結果、全日本ジュニアや国体の東京都代表となった。

とにかく卓球が好きで好きで、寝る間も削って人一倍努力した。

大学の3年の時世界選手権の日本代表に選ばれ日の丸をつけて世界と戦った。

マウリッツ(後にドイツ卓球協会会長) フリスベルイ(スウェーデン・ロンドン大会世界2位)

ブキエット(アメリカチャンピオン・世界ベスト8)などに勝ち、 ベスト16に入り、世界チャンピオンの田中利明選手と同士討ちとなり敗れた。

卓球を始めて5年半、コーチについて指導を受けたこともない私が、

日本代表メンバーとして外国選手に負けなかったことを振り返ると、

私が持論としている「努力に勝る才能はない!」ということを強く実感する。

人生には時として大きな転機が訪れるという。 私にとってのそれは29歳の時だった。

世界選手権で計12個の金メダルを獲得し、 ミスター卓球と称された荻村伊智朗さんと共に、

日本代表の監督をやってほしいというオファーが舞い込んできたのである。

荻村さんと共に過ごした間、 “卓球の真髄” “奥深さ” “物事に打ち込むことの大切さ”

特に〝本物に触れ本物から学ぶ〟ということを心底から知った。

海外へ遠征するたびに、選手たちを現地の美術館や博物館、 オペラ公演などに連れていった。

単に技術練習をするだけではなく、

一流のものに触れることによって器が大きくなり、人間的な深みが増すからだ。

もうひとつは〝絶対に妥協せず、とことん追求する〟ということ。

練習内容はとにかくハードだった。 「ランニング20km走の後、技術練習を6時間」やったり、

いろいろな課題も与えた「フォア打2,000本ノーミス」、 「1分間70本ペースでのフットワーク」、「無変化カット500本ノーミス」、 「変化カット300本ノーミス」など、そのひとつに、 「ツッツキ1,000本ノーミス」というものがあった。

999本でミスをしたら、またゼロからやり直し。1,000本達成するまで終わらない。

ある日、真冬の豪雪地帯の体育館で暖房もろくにない中、 朝9時からその練習は始まった。

日本代表の選手であるから技術的にはそう難しいことではない。 しかし、これには精神力が要る。

十人の選手が一人また一人とクリアしていく中一人の選手だけが夜9時を回っても

終わらず、深夜2時にようやく達成したことがあった。

ひとつの課題が終わらなければ絶対次の課題に移らない。 そういう修錬の賜物だろう。

この年の世界選手権では、金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個、

という結果をもたらすことができた。

大事なことをもうひとつ付言しておきたい。

それは、「出る杭になれ」「背伸びしなさい」

「自分よりレベルの高い人とお付き合いをしなさい」ということ。

そして、さらに勉強して、また背伸びをして、

もっとレベルの高い人とお付き合いができるように努力を重ねて欲しいと思う。

本当の意味で楽しい人生―それは最大限の努力をし、

よりよい結果を出すことによってのみ勝ち取ることができる・・・と私は信じている。

無我夢中で練習に没頭すれば習慣は習性となり、結果は必ず好転していく。

人から言われてやる場合と、自ら考え、実践する場合とでは、

その結果は天と地ほどの差になって現れる。

これは私の人生を通しての実感である。

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