メンタルトレーニング(心)の重要性(2)

楽しい経験は案外忘れるが、悔しい思いはいつまでも記憶に残るものだ。

今回のインカレで、「勝つのは、本当になまやさしいものではない」…ということを経験させて貰って、

全員が多くの教訓を得たと思う。

勝負というものは、精神的にも体力的にも技術的にも強くないと勝てない。

しかし、過ぎたことにこだわっているのはよくない。

その悔しさをバネに、一日も早く開き直って次の目標に向うことだ。それによって励みも出る。

現在行われているパンパシフィック水泳で、荻原智子選手は今まで大事な場面でいつも失敗を

繰り返していたが、最後の50メートルから一気に逆転して念願の優勝を果たした。

そして、「私の努力は裏切らなかった」という一言を残した。

君達が私にくれた暑中見舞いによれば

全員が次の目標に向ってスタートした様子がうかがえて嬉しかった。

さて、勝負にとって最も大切な「心」の持ち方の重要性についての続編を書こう。

メンタルトレーニングで一番重要なのは、丹田呼吸である。丹田呼吸を続けると、左脳の世界から

右脳の世界へ深く入れるようになる。

昔、宮本武蔵が座禅して悟りを得ようとしたのも、丹田呼吸によって悟りの境地に

到達しようと願ったからである。

丹田呼吸をすると間脳が目覚める。間脳は高次元とつながるところで、

イメージしたことが実現するという機能を持っている。

脳神経生理学者として著名なカナダのペンフィールドは「間脳には心を発現させる

最高の脳機能と、自動的な感覚と運動機能がある」と述べている。

間脳が目覚めると、感覚や運動の機能が、今までの感覚や運動の機能とは

まるで違ったものになるのだ。

メンタルトレーニングとは、脳のコンディショニングを良くして、

脳の力を最大限に引出すトレーニングである。丹田呼吸で間脳が目覚める。

すると、能力の質が変わり、それが技術や体力に影響することを知らなくてはならない。

丹田呼吸をすると、まず、脳波が変わる。脳波には、β波(14~30ヘルツ)、

α波(8~13ヘルツ)、θ波(4~7ヘルツ)、δ波(0.5~3.5ヘルツ)の四通りの脳波がある。

このうち、β波はストレス波と呼ばれて、この時の脳波は、

不安や緊張でいっぱいの時に出る脳波である。

α波は、リラックス波と言われ、丹田呼吸をすると心が静まり、

あがらずに平静心でいることができる脳波である。

脳の働きはホルモンと大きく関わっていて、ホルモンには覚醒型のドーパミンと、

ノルアドレナリンがあり、これとは逆の働きをする中枢神経系で、

神経の機能調節に重要な役割を果たしているセロトニンの働きを知ることが重要である。

ドーパミンは緊張を誘うホルモンで、適度な緊張は必要だから、

有用なホルモンであるが、いざという時には出すぎて、過度に緊張させ、

あがった状態に導くこともある。

ノルアドレナリンは不安と迷い、恐れのホルモンで試合のいざという場面では、

このホルモンが大量に出て、実力がまるで出せなくなる。

ところが、丹田呼吸を毎日していると、この二つのホルモンを抑える抑制型のホルモン、セロトニンが大量に出て、いざという場面にまったくあがらなくなり、

十分な実力を発揮できるようになる。

さらに間脳が開け、高次元的な能力まで発揮するようになるので、

技術や体力がまるで質の違ったものになる。

こうしてみると、心・技・体のうち、やはりがいちばん大切とわかる。

心を育てるメンタルトレーニングに力を入れたチームと、そうでないチームの差は歴然としている。

それでは、メンタルトレーニングとイメージトレーニングの違いは何だろうか。

メンタルトレーニングにイメージを加えたものがイメージトレーニングである。

メンタルトレーニングで脳波をα波に落とし、さらにθ波に落とすと、鮮やかなイメージが見えるようになる。

この時イメージすると、イメージしたことがイメージした通りに実現するようになる。

メンタルトレーニングをしたチームとしないチームの差は歴然としているが、

メンタルトレーニングをしたチーム同士が競うと結果はどうなるであろうか。

イメージの差が二つを分ける。はっきりイメージが見えるまでトレーニングをしたチームの方が

勝利を得るのである。

メンタルトレーニングをとり入れ、日々イメージしたことを毎日記録し続けると、

イメージの内容が、徐々に現実的になり、試合中の集中力が高まっていく。

メンタルトレーニングは、最初の段階ではリラクゼーションに時間を費やす。

よりリラックスしたチームの方が、良い成績をおさめる。

だから、メンタルトレーニングで、より重要で神秘的なのは、イメージが鮮やかに描けるようにする

イメージトレーニングである。

イメージがただ頭に感じるイメージではなく、

ビデオを見ているような鮮やかな視覚的イメージが描けるようになると、

実力が一気に一流の選手のものになるのである。

アメリカにシー・ジェイ・ミューラーというスピードスキーの選手がいる。

メンタルトレーニングの効果について聞くと、「リラクゼーションのコツを覚えてから

徐々に成績があがり、イメージがうまくできるようになった昨年からは、

更に強くなり、自分でも驚いている。世界で初めて時速200キロを超える選手になれるなんて思ってもいなかった。」…と言っている。

イメージがはっきり見える脳力がつくと、圧倒的な強さが得られることになるのである。

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