決断を早く、リスクを許容しよう

2018/8/01

『決断を早く、リスクを許容しよう』

人が成長するには時間がかかります。
だけど変化するには、一瞬で足りるのです。

以前、NHKの「ためしてガッテン」という番組で、
どんな小さなものでも仕事中によかったことや嬉しかったことを、
3つ、日記帳(ハッピーノート)に書き留めることを一週間続ける、という実験を行った。
参加者の、プログラム開始以前(日記帳記入前)と終了直後(記入後)の気分を比べたところ、
3つのよいことを書いたり、嬉しかったことを書くだけで、
人はこんなにも変わることが本当にあるのだろうか、という驚きの結果が解ったというのです。

ただ思ったり、感じただけではすぐ消えてしまうが、書き留めると客観化されて心に深く残り、
また振り返ってみて、自分の変化や進歩に気づくことが出来ると証明されたのです。

このハッピーノートは、お金も、特別な道具も、相手もいらない。
ただ寝る前に、その日にあった「よいこと」や「嬉しかったこと」を書き留め、
それを一週間続けさえすればいいのです。

君達は自分が大いに意味がある存在だったことに気づき、
新たな悦びと生きる意欲を見出すに違いないと思う。

そして人を変えるのは、このハッピーノートだけではなく、
たまたま読んだ本の一行が人生を変えることがあるし、
上司のひと言が部下を一変させることもある。

私の愛読書は、山岡荘八の『徳川家康』全26巻ですが、これは1964年、
丁度、東京オリンピックの年に発売され、読み直す度に新しい気づきを与えられている。
その中で「武士や領民は自分の持ち物ではなく、支配しているように見えるのは、
天から預けられているに過ぎない、大切な預かりものと思うべきだ…」という考え方に
感銘を受けました。
そしてそれが、社員やお客様や取引先とその家族、全国に広がるお店の地域の方々を含め、
幸せになって頂かなければならない・・・という私の経営観の礎となっている。
また、数十年に亘る明治大学卓球部の監督、総監督としては、
縁あって入学してきた何百人の選手たちが、人間力を身につけ、
立派な人間として成長してくれることを願ってサポートしていきたい…ということを
この本によって教わり、その思いを実践するため「児玉語録」を書いたり、
各種ミーティングで話をして来ました。

決断の経験を早く(若い時)から多く持つ人は、リスクを許容でき、
リスクをリスクと思わない体質に変わっていくのです。
リスクを怖がる人は成長するスピードが遅い。
私は常に「リスクを取らないことは最大のリスクだ」と言っている。

決断を避けて、「リスクを取らないでいるリスク」の方が、はるかに怖いのです。
「リスク怖い病」にならないようにするには、
決断経験を重ねて、自分自身を挑戦する体質に変えていくことです。

決断が早い人の方が、遅い人より成果を出し、成長が早い。
決断経験を蓄積することで、挑戦意欲が高まっていきます。

リスク耐性を身につけるのに、大げさな意識改革は必要ないのです。
自分主体の意思と決断が何より大事だということです。

リスクの語源は、「勇気を持って試みる」というイタリア語の「リシカーレ」からきています。
そのリスクをも、いとわないチャレンジ精神を支えるものが、自助の精神です。

努力の末に迎えるピンチはチャンスです。
一生のうちでピンチのときがなかったという人はいないでしょう。
私自身を振り返っても、大きなものから小さなものまで、
数えきれないほどのピンチを経験して来ました。
だからこそピンチはチャンスだと思うのです。

ピンチを迎えたということは、それだけ努力してきたにも拘らず、危機を迎えたわけですから、
さらに次の段階に進むための通過点にきたのです。
だから、これまで努力してきたことに自信を持ち、チャンスに変えていくことです。

「ピンチだ!」というとき「これはチャンスだ」と気分転換して、前向きに「どうしたらいいか」
「自分は何をするか」と考えられれば、解決策は自ずと見えてくるはずです。